ブラッサイ(Brassaï)は、ハンガリー / フランスの写真史を考えるうえで重要な写真家です。このページでは、関連作家や主要な作品を手がかりに、写真の座標の中での位置づけを、関連作家・出典とともに読み解きます。
ブラッサイ(本名:ジュラ・ハラース、1899–1984)はハンガリー生まれ、パリを拠点に活動した写真家。夜のパリの記録のほか、グラフィティ、肖像、文学・芸術サークルとの交流でも知られる*1。
代表作「Paris de nuit」(1932年)は、霧に煙る街路、カフェ、娼婦、恋人たちを濃密なモノクロで捉えた写真集で、近代写真における夜の都市表現の基点となった。構成的な照明と闇の密度を駆使し、観察された現実を同時にステージのように見せる演出力が特徴である*1*2。後年のグラフィティ連作では、壁面に刻まれた匿名の痕跡を真剣な視覚素材として提示し、「見ること」の対象の拡張を試みた*3。
MoMAとMACBAはブラッサイをシュルレアリスムとドキュメンタリーの交差点に位置づける。「Paris de nuit」は今日も20世紀を代表するフォトブックとして繰り返し参照され、都市の無意識を視覚化した写真家として評価が定まっている*1*2。