1911年リトアニア生まれ、1980年没。本名イスラエリス・ビデルマナス。第二次世界大戦後にフランスで活動し、フランスのヒューマニスト写真を代表する写真家のひとりとして知られる。1951年にMoMAで開催された「Five French Photographers」展でブラッサイ、カルティエ=ブレッソン、ドワノー、ロニスとともに紹介された。
イジスの写真は、パリ・戦後の日常生活・子ども・サーカスと演芸・都市の詩的な空気を主題とした叙情的な社会写真として特徴づけられる。代表作として戦後のレジスタンス戦士のポートレートや、後年のパリ・サーカス写真、写真集『夢のパリ』(Paris des rêves)が挙げられる*1*2。
形式的な特徴として、柔らかながら意図的なトーン処理・詩的なフレーミング・感情的な接近・ハードなジャーナリズム的事実性よりも雰囲気の優先が挙げられる*1*2。イジスが追求したのは、叙情性と優しさが記録から切り離されない社会写真の形式であった。彼の写真は公共の場を、乖離した観察ではなく感情的な認識の空間へと変える*1*2。
歴史的文脈として、戦後フランスにおいては挿絵入り雑誌・書籍文化・ヒューマニスト写真の広い潮流が日常生活のイメージを受容する枠組みを形成していた*1*2*3。MoMAの「Five French Photographers」展(1951年)は、イジスをブラッサイ、カルティエ=ブレッソン、ドワノー、ロニスと並ぶ戦後フランス写真の固有言語の担い手として国際的に位置づけた*1*2。イジスの批評的意義は、戦後フランスのドキュメンタリー写真が静かで詩的・感情的に充填されたものでありながら歴史的根拠を失わないことを示した点にある。記憶・喪失・日常的な優しさが写真的価値となるその感情的登録が、写真史における彼の位置の核心をなす*1*2。