ラッセル・リー(Russell Lee)は、アメリカの写真史を考えるうえで重要な写真家です。このページでは、関連作家や主要な作品を手がかりに、写真の座標の中での位置づけを、関連作家・出典とともに読み解きます。
ラッセル・リー(1903–1986)はアメリカの写真家。FSAの主要写真家のひとりとして、農業・労働・農村コミュニティを中心に大規模なドキュメント活動を行った*1*2。
リーの方法論の特徴は、単一の傑作よりも体系的な蓄積によって社会的現実を記録しようとする姿勢にある。石炭・農業労働・中西部の小都市など、特定のコミュニティや産業を連続的に撮影し、一連の記録が持つ社会的密度を重視した*1。FSA写真家のなかでもっとも多くのプリントを残したとされており、アーカイブの規模自体が歴史的意義をもつ*1。特定の象徴的フレームではなく、コミュニティが実際に生き働く様子を複数の写真として積み上げる方法は、ドキュメンタリーの別の可能性を示している*2。
議会図書館とナショナル・アーカイブズはリーを中心的なFSA写真家として位置づけ、近年のアーカイブ整備と伝記研究を通じてその全体像の再評価が進んでいる。数少ない名作への集中ではなく、アーカイブ全体の重みを評価する視点が強まっている*1*2。