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PHOTOGRAPHERS/MARCEL BOVIS
MB
§ 079 — Photographer Index —

マルセル・ボヴィス

Marcel Bovis
Country1930s / 1930年代 Period1930–1940s Channel写真史の入口 · PHOTO HISTORY
Abstract

ニース生まれのフランスの写真家。パリの夜の都市を長時間露光と精密な光の計算で記録し、フランス「新しい視覚」の潮流と1930年代の雑誌文化の交点に位置する。戦後はグループ・デ・キャンズ(Groupe des XV)に参加して写真の芸術的地位の制度化に貢献し、フランス国立図書館(BnF)に作品が収蔵されている。

この写真家が変えたこと

長時間露光と精密な光の計算によってパリの夜を幾何学的・構成的な視覚として整理し、同時代のブラッサイが夜を人間の生態で記録したのとは異なる都市夜景の抽象的・形式主義的な一形態を開いた。グループ・デ・キャンズ(1946年設立)の中心メンバーとして、写真家が主導して写真の芸術的地位を制度化しようとした戦後フランスの動きに参与した。

Keywords
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目次 · Table of Contents
§ 01 / 03 背景と時代

マルセル・ボヴィスは1904年にニースに生まれ、1920年代末からパリで写真を始めた*1。1930年代には『アール・エ・メティエ・グラフィック(Arts et Métiers Graphiques)』誌をはじめとする印刷・デザイン専門誌に作品を発表し、パリの夜景写真で知られるようになった。1930年代から40年代にかけてはグループ・ル・レクタングル(Le Rectangle)に参加した。第二次世界大戦後は、写真を芸術として制度化する目的で1946年に設立されたグループ・デ・キャンズ(Groupe des XV)の中心メンバーとなった。後年はアルジェリアの古代遺跡も撮影し、フランス文化省系の機関である遺産・写真メディアテーク(Médiathèque du patrimoine et de la photographie)が6×6判ネガを含む作品群を所蔵している*2。1997年に死去した。BnF(フランス国立図書館)はボヴィスの典拠レコードを管理しており、所蔵資料の確認に用いられる*3。マイゾン・デ・ザール・ドゥ・アントニー(Maison des Arts d'Antony)はボヴィスの作品についての専門ガイドPDFを公開しており*4、メトロポリタン美術館は《Hôtel de l'Univers, Nantes》を所蔵している*5

§ 02 / 03 表現の核心

パリの夜景と長時間露光の技法

ボヴィスのパリ夜景写真は、街灯・看板・濡れた舗道の反射・建物の輪郭を、長時間露光によって構成的な画面へと変換する技法に特徴がある。同時代のブラッサイがパリの夜を人間の生態と都市の肉感で記録したのに対し、ボヴィスはより幾何学的・構成的な観点から夜の都市空間を整理する傾向を持つ。マイゾン・デ・ザール・ドゥ・アントニーのガイドPDFは、ボヴィスの方法と代表作についての専門的な解説資料として機能する*4。メトロポリタン美術館の《Hôtel de l'Univers, Nantes》はボヴィスの夜のインテリア写真の一例を公式所蔵作品として確認できる*5。ユニバーシティ・オブ・シカゴのスマート美術館もボヴィスの作品を所蔵している*7

「新しい視覚」と雑誌文化の交点

ボヴィスが1930年代に作品を発表した『アール・エ・メティエ・グラフィック』誌は、グラフィックデザイン・タイポグラフィ・写真の最先端を紹介するフランスの高級印刷誌であり、バウハウス的な「新しい視覚」の影響を受けた作家と写真の国際的潮流が交差する場だった。ボヴィスの作品がこの媒体に採用されたことは、彼が当時のフランスにおける写真モダニズムの一翼を担っていたことを示す。学術誌『Revue archéologique』所収論文「L'Algérie antique de Marcel Bovis」(cairn.info)は、パリ夜景写真以外のアルジェリア古代遺跡写真という側面を専門的に論じており、ボヴィスの活動の広がりを示している*8

グループ・デ・キャンズと写真芸術の制度化

1946年に設立されたグループ・デ・キャンズは、写真家自身が運営する展覧会活動を通じて写真を芸術として確立しようとしたフランスの組織であり、ボヴィスを含む15名の写真家が毎年展覧会を開催した。このグループへの参加は、ボヴィスが単に写真を撮る実作者であっただけでなく、写真の制度的地位の形成に関与した人物であることを示す。メディアテーク・デュ・パトリモワーヌは6×6判ネガを含む作品群のアーカイブを所蔵しており*2、マイゾン・デ・ザール・ドゥ・アントニーとの共同展示「Marcel Bovis 6×6」はこのアーカイブを公開する機会となった*9

§ 03 / 03 批評と写真史上の位置

ボヴィスはブラッサイやロベール・ドワノーほど国際的に知られていないが、パリの夜景写真とフランス写真芸術の制度化という二つの側面で評価されている。ドワノーが遺したマイゾン・ド・ラ・フォトグラフィー・ロベール・ドワノーでの展覧会は、同時代作家の機関での再評価として注目できる*6。メディアテーク・デュ・パトリモワーヌは「Marcel Bovis(1904-1997)」として作家ページを持ち、国家機関系の所蔵・アーカイブ確認のための公的資料として機能する*2

§ REL 関連する写真家・運動
関連する写真家
  • ブラッサイ ― パリの夜を主題とした同時代の写真家として比較される。ブラッサイが夜の人間的生態を記録したのに対し、ボヴィスはより幾何学的・構成的なアプローチをとった。
  • ロベール・ドアノー ― フランス人道主義写真の文脈で活動した同時代の写真家で、マイゾン・ド・ラ・フォトグラフィー・ロベール・ドアノーでボヴィスの作品も展示された。
  • ジェルメーヌ・クリュル ― 1920〜30年代のパリで都市・産業・アヴァンギャルドを横断した写真家として、ボヴィスが接続したフランス写真モダニズムの先駆的実践者。
  • アンドレ・ケルテス ― パリの夜と建築を幾何学的な視点で撮影した写真家として、ボヴィスの都市構成的アプローチと並走する。
関連する運動
  • モダニズム ― 『アール・エ・メティエ・グラフィック』誌への作品発表を通じて、フランス写真モダニズムの視覚文化に参加した。
  • 新しいヴィジョン ― 幾何学的な構成と光の形式的操作において、バウハウス・新視覚的方法論の影響を受けた実践者として位置づけられる。
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