マルセル・ボヴィス(Marcel Bovis)は、フランスの写真史を考えるうえで重要な写真家です。このページでは、関連作家や主要な作品を手がかりに、写真の座標の中での位置づけを、関連作家・出典とともに読み解きます。
マルセル・ボヴィス(1904–1997)はフランスの写真家。雑誌・広告・都市写真を軸に活動し、戦後はル・グループ・デ・カンズ(Le Groupe des XV)に参加して写真の芸術的地位の確立を求めた*1*2。
主要な主題はパリの街路・遊園地・建築の断片・室内空間で、《Hotel de l'Univers, Nantes》などの作品はニュー・ヴィジョンの幾何学的構成と都市ドキュメントの眼を結合している*1。急角度や俯瞰、強い影のパターンを用いながら、都市の表面が持つグラフィック的な可能性を引き出す構図が特徴である。記録的な出発点を持ちながら、写真的デザインとして再組織された画面は、社会記録と形式的モダニズムが対立しないことを示している*1*2。1930年代フランスにおけるニュー・ヴィジョン受容から戦後の写真の芸術化運動へと繋がる連続性のなかに位置づけられる*2。
メトロポリタン美術館やBnFなどの所蔵・記録はボヴィスを主要なフランス近代写真家として位置づける。受容は一部の同時代人ほど広くはないが、1930年代の形式的実験と戦後の写真芸術化という二つの文脈をつなぐ人物として再評価が続いている*1*2。