1960年オーストリア・ザルツブルク生まれ、ベルギー・ブリュッセルを拠点に活動する写真家・アーティスト。建築・採石場・モダニズム構造物・都市空間をリサーチの対象とし、アーティストブック・インスタレーション・空間介入を通じて作品を発表する。写真を建築の記録にとどめず、展示空間・壁面・流通との物質的な交渉の場として扱う実践は、建築写真をリサーチベースの現代美術へと拡張した。
コンラートの実践の核心は、35mmフィルムによる現地での徹底的な撮影リサーチと、蓄積した膨大なアーカイブを展示・書物・空間介入へと変換する方法にある。採石場をめぐるプロジェクト、『Japan Works』、展示《From A to K》《Umbau》はその代表的な作例であり、写真が建築を単純に描写するのではなく、アーカイブ・壁面・書物という複数の回路を通じてどのように循環し変換されるかを問うものとして組み立てられている。*1
形式面では、拡大されたフォトコピーやシルクスクリーン、コラージュ、展示空間への物理的介入が特徴的である。アルゴスの《Elasticity》では、反復・反転・拡大・コラージュという操作が都市イメージに繰り返し適用されており、建築写真が変換の連鎖を通じてどのように生き続けるかが示された。この実践は、写真と展示の境界を意図的に解体する操作として機能する。*3
USIの建築劇場での展示テキストは、コンラートの作品が「写真のドキュメンタリー機能と二次元的な画像としての地位」への問いを核としていると述べており、*4 写真は建物を記録する媒体にとどまらず、展示空間・壁面・流通との交渉において物質的に作用するものとして機能する。20世紀末の建築写真・都市リサーチへの関心の高まりとともに、コンラートはこうした実践をインスタレーション的次元へと拡張し、建築写真を静的な記録から動的なリサーチの素材へと転換した作家として際立った位置を占めている。