イジマカオルKaoru Izima

1965年日本生まれ。モデル・女優が自らの「架空の死のシナリオ」を発案し、写真家がそれを精密にステージングするという協働的方法論で知られる。ファッション写真の精度と死という主題を結びつけ、ポートレートを美・脆弱性・イメージ文化をめぐる思索的な舞台へと転換した。

基本情報
日本
生没年 1965–

経歴

1965年日本生まれ。長期連作《Landscapes with a Corpse》をはじめとする死のタブローで国際的な評価を確立し、アート・プラットフォーム・ジャパンのパブリック・コレクションに収蔵されている。*1 ファン・デア・グリンテン・ギャラリー(ドイツ)やスタジオ・ラ・チッタ(イタリア)など欧州の画廊でも継続的に発表してきた。*2

表現解説

イジマの実践の核心は、撮影対象——モデル・女優——が自らの「架空の死のシナリオ」を発案し、写真家がそれを精密に演出するという協働的な制作方法にある。ファン・デア・グリンテン・ギャラリーの作家解説が示すように、この方法論は被写体を受動的な表象の客体から、自らの表象に関与する創造的な主体へと転換する点に特徴がある。*2

代表作《Landscapes with a Corpse》では、各回ごとに異なるシナリオが演出される。高精細の大判カラー、ファッション写真由来のコスチュームと姿勢への細密な注意、映画的なナラティブの静止という形式的特徴が、美と死を同一の視覚的表面に共存させる。このとき死は衝撃や告発のためではなく、美・セレブリティ・モルタリティがイメージ文化のなかでいかに共同演出されるかを問うための装置として機能する。*3

20世紀末において、ファッション写真・ステージド写真・映画的イメージが美術のコンテクストに流入してきた局面で、イジマは「ファッション写真の精度を使いながら、ファッションが忌避する死という主題を持ち込む」という倒錯的な実践を展開した。これにより通常グラマーやショックに収束しがちな美と死の組み合わせが、美術史的・演劇的な思索の対象として提示される。

批評と受容

ギャラリー・コレクションの資料は一貫して、イジマを「撮影者が被写体と協働して死の物語を作り上げる」というユニークな前提のもとに提示してきた。*2 批評的受容は優雅さ・メランコリー・物語的な宙吊りの混合を強調する傾向があり、ドキュメンタリー信頼性よりも死のシアターという思索的な次元への関心が中心にある。*1 ポートレートを人物の記録から協働的な死の舞台へと転換した実践として、20世紀末の日本のステージド写真における固有の位置が評価されている。*3

イジマカオル 写真集

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外部リンク

出典