of Sexual
Dependency
ナン・ゴールディン
「性的依存のバラード」(1986年)で自らのコミュニティ——友人・恋人・ドラッグ・セックス・エイズ死——を日記的スライドショーとして記録した写真家。
ベルリンの壁崩壊(1989年)と冷戦終結がイメージの政治的文脈を塗り替えた。ベッヒャー夫妻の弟子グルスキー・ルフ・シュトルートがラージフォーマット写真で美術市場に参入。ゴールディンは「性的依存のバラード」でエイズ・ドラッグ・クィア文化を親密に記録した。
デュッセルドルフ芸術アカデミーのベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻が育てたグルスキー・ルフ・シュトルートが、デジタル操作を駆使したラージフォーマット写真で美術オークション市場に参入。写真の「客観的記録」というテーゼを大画面と高価格で転換した。ゴールディンは日記的スライドショー「性的依存のバラード」でエイズ禍とクィアコミュニティを記録した。
この時代の写真は「美術オークション品」と「親密なコミュニティ記録」という全く異なる二極に同時に展開した。グルスキーのラージフォーマットは写真を絵画サイズの美術品にした。ゴールディンの「バラード」は写真をエイズ時代の生存証言とした。どちらも「写真の客観性」という前提を、全く異なる方法で問い直している。
ベルリンの壁崩壊(1989年)・冷戦終結・エイズ危機(1981年〜)・レーガン・サッチャーの新自由主義政策が社会を変えた。
ベッヒャー夫妻の指導のもと、グルスキー・ルフ・シュトルートらがタイポロジーとラージフォーマット写真で美術市場に参入した。
エイズ禍がクィアコミュニティを直撃した時代。ゴールディン・マッピルソープらが親密な記録と美術表現の両面でエイズを写真に刻んだ。
1989年天安門・ベルリンの壁崩壊など歴史的瞬間がリアルタイムで世界へ届いた。報道写真の役割と倫理が再度問われた。
「性的依存のバラード」(1986年)で自らのコミュニティ——友人・恋人・ドラッグ・セックス・エイズ死——を日記的スライドショーとして記録した写真家。
取引所・工場・ホテル・ライン川を大判フォーマットでデジタル合成し、グローバル資本主義の壮大な視覚を作った。2011年「ライン川II」は最高価格写真として記録された。
給水塔・高炉・石炭洗浄工場を同じ角度・照明で撮影したタイポロジーで工業建築の類型学を作った。デュッセルドルフ派の教師として後続世代を育てた。
大型ライトボックスに映画的に演出された日常の場面を写真として提示した。シネマトグラフィーとドキュメントの境界に位置し、写真の「記録性」を演出と混在させた。
飽食・観光・消費文化のグロテスクな過剰をカラーと接近フラッシュで撮影した風刺的ドキュメンタリー写真家。「The Last Resort」(1986年)でマグナム入り。
黒白の壮大なスケールで貧困・難民・労働者・環境破壊を記録した社会写真家。「Workers」(1993年)・「Migrations」(2000年)で世界規模の問題を視覚化した。
大判ポートレートでアイデンティティと写真表象の無機質な距離を示し、ニュースワイヤー画像・ヌード・建築写真へと写真の「客観性神話」を多角的に問い直した。
友人・クラブ・ダンスフロア・抽象写真を雑誌に発表し、展示方法の実験で写真の「フレーム」を問い直した。2000年ターナー賞受賞。
横須賀の傷跡・母の遺品・広島被爆者の衣服を撮影し、身体・時間・記憶の痕跡を写真に刻んだ。日本女性写真家の国際評価の先駆者。
東京新宿・モスクワ・ニューヨークの夜間撮影でハイコントラストの孤独な人間像を作り出した。プロヴォーク後の日本ストリート写真の重要な一極を担った。
1953年フランス生まれ。見知らぬ他者を尾行し、他人の日常を記録し、儀式的な行為を手続きへと変換するという行為主義的な方法論で知られる。
1947年アメリカ生まれ。既存の図像——ウォーカー・エヴァンスらの正典的な写真——を再撮影した《After Walker Evans》(1981年)で知られる。
1951年アメリカ・ハートフォード生まれ。精密に制御された照明と半演出による場面構成を通じて、ドキュメンタリーの事実性と映画的フィクションの間に存在する写真を制作した。
1956年イギリス生まれ。カラー写真・連作・ブック形式を組み合わせ、ドキュメンタリー写真を内側から刷新した。
1951年大阪生まれ。西洋美術史の正典的なイメージ——ヴェラスケス、マネ、フリーダ・カーロなど——に自らの身体を挿入することで知られる。
1954年イタリア・カルピ生まれ。チルトシフトと選択的ピントによって実際の都市を縮尺模型のように見せる航空・高所写真で知られる。
1967年ドイツ生まれ、ロンドン拠点。夜の都市——再開発の残滓・不完全な構造・見過ごされた表面——を長時間露光の大判カラー写真で記録した。
1958年ベルギー・エークロ生まれ、ヘント在住。室内・カーテン・ホテルの一室・身体の断片を、暗く圧縮されたトーンで捉える大判モノクロ写真で知られる。
1972年フィンランド・ヘルシンキ生まれ。自画像・風景・コンセプチュアルな映像作品で知られる写真家・映像作家。
1965年イギリス生まれ。16mmフィルムを中心としながら写真・ドローイング・テキストを横断する現代アーティスト。
1967年オランダ・レーワルデン生まれの写真家。壁紙・ポスター・プラスチック木目など室内の代替的自然を主題に、高精細カラー写真で日常的な空間を観照的なイメージへと変換する。
1970年ドイツ・マインツ生まれ。複数の写真断片をデジタル合成して風景・都市景観を構築する手法で知られる写真家。
1958年チェコスロバキア生まれ、1982年に西ドイツへ亡命しエッセンを拠点に活動する写真家。故郷・移住・帰属を主題に、ポートレートと風景を通じてアイデンティティと環境の関係を継続的に探求する。
1967年スウェーデン・ヨーテボリ生まれ。大判カラー写真と彫刻・インスタレーションを通じて制作する現代美術家。
1972年滋賀生まれ、東京拠点。日用品や家庭的な空間を精密にステージングし、スケール・配置・フレーミングによって対象の大きさや実在性への確信を揺るがす写真で知られる。
1962年東京生まれ。《Tokyo Suburbia》で木村伊兵衛賞を受賞し、日本の郊外・消費空間・家族という主題を冷静で繊細な観察で記録してきた。
1965年日本生まれ。モデル・女優が自らの「架空の死のシナリオ」を発案し、写真家がそれを精密にステージングするという協働的方法論で知られる。
1969年アメリカ・ニューヨーク州生まれ。1990年代末から少女・道路文化・アメリカの風景を大判カラーで演出・記録し、男性的な移動神話に女性の集団的自由という対抗神話を対置してきた。
1960年オーストリア・ザルツブルク生まれ、ベルギー・ブリュッセルを拠点に活動する写真家・アーティスト。建築・採石場・モダニズム構造物・都市空間をリサーチの対象とし、アーティストブック・インスタレーション・空間介入を通じて作品を発表する。
1969年イタリア・コモ生まれ。建築の内部から撮影するカラー写真で知られる。
1969年生まれのフランス・イギリス系アーティスト。映像・写真・インスタレーション・アーティストブックを横断し、政治的・軍事的・経済的システムの中でいかに映像が生産・媒介・流通するかを問う。
1970年オランダ生まれ、アムステルダム拠点。写真・映像・ポートレートを通じて、政治的・軍事的な公的イメージがいかに演出・構築されるかを問い続けてきた。
1962年デンマーク生まれ。写真・映像・音・インスタレーションを通じて、オカルト・薬物・植民地主義・カウンターカルチャーなど証拠が不完全または汚染された歴史を探求するリサーチ主導型の実践で知られる。
1957年ルーマニア・ティミショアラ生まれの写真家・建築家・アーティスト。subREALグループのメンバーであり、ブカレスト国立美術大学写真・映像・コンピュータ画像処理学科の共同創設者。
ドイツの写真家。1990年代初頭から「写真演出(Fotoinszenierungen)」を一貫した方法論として展開してきた。
1968年パリ生まれ。写真・映像・パフォーマンスを横断し、実際には起こらなかった歴史的場面を捏造してドキュメンタリー的権威を付与する実践で知られる。
1965年フィンランド生まれ。建築空間に影・色面・薄布状の遮蔽物を重ね、視覚的な読み取りを複雑化する大判カラー写真で知られる。
1974年フィンランド生まれ。熱帯雨林の研究ステーションに赴き、科学者と協働しながら鳥や動物のポートレートを携帯スタジオで制作してきた。
1959年ポーランド生まれ。後期社会主義・ポスト社会主義ポーランドのクリティカルアートの中心的人物。
1973年ドイツ・シュトゥットガルト生まれ、ロサンゼルスとケルンを拠点に活動する写真家。風景写真とデジタル操作を組み合わせ、描写的でありながら絵画的・人工的な映像を生み出す。
1946年フランス生まれの写真家。ありふれた野鳥とその生息環境を主題に、数ヶ月単位の長期的な待機と観察を経て大判カラー写真を制作する。
1960年ダーバン生まれの南アフリカ人写真家。アパルトヘイト終焉期から移行期にかけて、タウンシップ・非公式居住地・職場の人々を大判カラーで記録した。
1963年ナイジェリア生まれのイギリス人写真家。自らのキャリアを「〈戦場〉という語の意味を探索し拡張すること」と定義し、戦闘の瞬間よりも戦場の風景・廃墟・軍事インフラを大判カラーで記録してきた。
1962年ハンガリー生まれ、オランダ在住の写真家・アーティスト。写真・映像・インスタレーション・絵画の閾で作動し、映像の構造・光・建築・視覚の不安定性を探る。
1968年ドイツ生まれ。地方新聞の報道写真やアマチュア撮影のヴァナキュラー画像を収集・分類・再配置することで新たな意味を生み出す。
1962年ブラジル生まれ。廃棄・放置された写真的材料——旧聞のアーカイブ・アルバム・ネガ・新聞記事——を収集・再配置・再活性化することで、写真が記憶の生産と喪失の場として機能する様を問う。
メキシコにルーツを持ち、チューリッヒで学んでジュネーブを拠点に国際的に活動するアーティスト・写真家。写真・複製物・コピー・アーティストブックを通じて、文化的な技法・流通・異文化間の伝達を探求する。
1962年スウェーデン生まれ。映像・写真・彫刻・インスタレーション・テキストを横断する現代美術家。
1962年ドイツ生まれ。建築・都市環境・肖像を主題に、写真を通じて抽象・権力関係・表象に埋め込まれた社会的コードを検証する写真家。
1963年ドイツ生まれ。超長時間露光によって都市・建築・歴史変容を一枚のイメージに圧縮することで知られる。
1966年中国生まれ、もともと絵画を学んだ。1990年代から巨大なステージド写真の制作に転じ、消費主義・国家イデオロギー・グローバル化の矛盾を社会主義リアリズムのエコーと商業イメージの混合として可視化してきた。
1971年中国生まれ。映像・写真・絵画を横断するアーティスト。
1959年イギリス生まれ。建築・都市空間・空などを主題に、出来事の記録ではなく持続的な観察と連作による記述を方法論とする大判カラー写真を制作してきた。
1971年生まれ、ロンドン拠点のブリティッシュ・アーティスト。再撮影・マーカー・ステッカーによる介入・テキストの衝突を通じてマスメディアの映像を改変し、セクシュアルな表象・消費文化・身体イメージの暴力性を露わにする。
1960年バルセロナ生まれ。社会人類学と写真ドキュメンタリーを基盤に、都市周縁部・政治的記憶を宿した景観・争われた場所の長期調査を実践してきた。
スイス/ドイツ出身の写真家。チューリッヒ・パリ・ロンドン・ニューヨーク・ロサンゼルス・オースティンを拠点に活動し、エディトリアル・セレブリティポートレートと、1999年から継続する自画像日記プロジェクト《Behind My Face》で知られる。
1968年フランス生まれ。抗議運動・デモ・仮設的な占拠・周縁的な公的集会を大判カメラで撮影するドキュメンタリー写真家。
1974年テヘラン生まれ、チューリッヒ拠点。ポートレイト・静物・風景・抽象という写真の既存ジャンルを出発点とし、それらを拡大・反復・他メディアへの翻訳を通じて変容させることで、写真的意味がいかに流通・変化するかを問う。
1970年ノルウェー生まれ。商業写真の精緻な仕上がり、身体への近さ、奇妙な象徴性、親密さと不安が交錯するイメージで知られる。
1972年ドレスデン生まれ。廃棄された車両・家具・工業的残滓・空白の室内を主題にしながら、実際には被写体を見て・変形し・再演出した上で撮影するという方法を特徴とする。
1964年オランダ・デルフト生まれ、ロッテルダムを拠点に活動する写真家。都市景観・建築・グローバリゼーションが現代都市に及ぼす圧力を主題とする。
1957年生まれ、彫刻を出自とする写真家・教育者。長時間露光・光の軌跡・身体的な介入を通じて、日常的な環境を時間と行為が堆積するフィールドへと変換する。
1936年生まれの写真家・批評家・編集者。舞台公演や人物の記録写真を撮影する傍ら、日本の美術館写真コレクションの形成に関する執筆・編集にも携わった。
星野道夫は1952年、千葉県市川市に生まれ、アラスカの野生動物、風景、人々の暮らし、神話を写真と文章で記録した写真家。十九歳のときに見たシシュマレフ村の航空写真をきっかけに土地へ入り、以後、極北の自然を「人間の外にある景色」ではなく、移動、狩猟、記憶、死生観を含む長い時間として読ませた。
東ドイツの文化誌『Sibylle』を舞台に、ファッション写真を都市と社会のなかの肖像として撮り直した写真家。代表作《記念碑》ではマルクス=エンゲルス像の制作過程を11年追い、統一後はOstkreuzを共同設立した。