1964年オランダ・デルフト生まれ、ロッテルダムを拠点に活動する写真家。都市景観・建築・グローバリゼーションが現代都市に及ぼす圧力を主題とする。ニュー・トポグラフィクスから出発し、「ますます映像で構成されるようになる複雑な現実」としてのメトロポリスを写真と映像で問い続ける。
ファン・デル・サルムの実践は、都市景観をその物理的形態だけでなく「映像の場」として扱うことを特徴とする。自身のバイオグラフィーは、作品がニュー・トポグラフィクスの影響のもとに出発し、「ますます映像で構成されるようになる複雑な現実」としての現代都市メトロポリスへと発展したことを明示している。*1 この認識から、写真は都市形態の分析ツールであると同時に、都市の映像文化の産出者でもあるという二重の立場を取る。
大判の都市的なビュー・意図的な被写体からの距離・慎重にバランスされた構図を特徴とし、建築や社会基盤は孤立した建物としてではなく、より広いメトロポリスの映像システムの要素として捉えられる。*2 ReVueでの《Spot》(2000)の考察は、一見シンプルな街頭の一場面が距離とフレーミングを通じて建築を見ることへの反省になる様相を示しており、*3 ファン・デル・サルムの実践が都市景観写真だけでなく、その媒介された・政治的な映像空間としてのメトロポリスを主題にしていることを示す。ニュー・トポグラフィクスとその後のグローバル都市写真を橋渡しする作家として、ドキュメンタリー的な都市映像がメトロポリスの映像飽和状態を批評的に反省しうることを示した。