リカルダ・ロガンRicarda Roggan

1972年ドレスデン生まれ。廃棄された車両・家具・工業的残滓・空白の室内を主題にしながら、実際には被写体を見て・変形し・再演出した上で撮影するという方法を特徴とする。写真を歴史的痕跡の透明な記録ではなく、放棄された物や場所に新たな視覚的秩序を与える構築的行為として実践した。

基本情報
ドイツ
生没年 1972–

経歴

1972年ドレスデン生まれ。ライプツィヒ写真の文脈に位置づけられながら、廃棄された車両・家具・工業的残滓・空白の室内を主題にした作品で知られる。《Garage》《Reset》《Set》《1971》などの連作を経て、ライプツィヒ造形芸術美術館(MdbK)での個展《Der dunkle Wunsch der Dinge》が実践の全体像を提示した。*1 Zabludowicz Collectionなど国際的コレクションにも収蔵されている。*2

表現解説

ロガンの実践の特徴は、ドキュメンタリーのように見えながら実際には対象を見て・変形し・再演出した上で撮影するという構築的方法にある。MdbKの展覧会テキストはこの方法を明確に示しており、*1 アナログ写真が透明な記録ではなく、放棄の痕跡を帯びた物や場所に新たな視覚的秩序を与えるために使われていることを明示する。前景に置かれた静物・空の部屋・廃車・放棄されたインテリアは、静物・建築・インスタレーションの境界に位置する曖昧な対象として現れる。*2

東ドイツ崩壊後の廃墟・工業的残滓・時代遅れのインテリアが記憶と政治的残響の媒体として注目された歴史的文脈において、ロガンの実践は単純な廃墟写真とは異なる独自の立場を示す。*3 再演出という行為がドキュメンタリー的な外観を保ちながらも歴史的痕跡に人工的な秩序を与える——この二重性が作品の中心的な問いをなす。物と場所は社会的システムの残滓として現れるが、その読み方はアナログ写真の物質性と配置の人工性によって意図的に開かれたままにされる。

批評と受容

MdbKの枠組みは最も強い批評的視点を提供し、ロガンを痕跡の「探索者」と「考古学者」として示しながらも、演出と再演出の重要性を強調する。*1 Zabludowicz Collectionのテキストは《Garage》などの作品を東ドイツの物質文化の残響と非ナラティブな画像の力として位置づける。*2 単純なドキュメント的廃墟写真への還元を拒み、歴史的残滓に構築的な視覚秩序を与える実践として一貫して評価されている。

リカルダ・ロガン 写真集

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外部リンク

出典