1974年テヘラン生まれ、チューリッヒ拠点。ポートレイト・静物・風景・抽象という写真の既存ジャンルを出発点とし、それらを拡大・反復・他メディアへの翻訳を通じて変容させることで、写真的意味がいかに流通・変化するかを問う。デジタル介入を用いずアナログ手法を守りながら、現代的なイメージ問題を扱う実践者。
シャーバジの実践は、ポートレイト・静物・風景・抽象という写真の既存ジャンルを出発点とし、それらが拡大・反復・他メディアへの翻訳を通じてどのように変容するかを試験することにある。ハマー美術館の展示テキストが明示するように、シャーバジは「通常の条件下での写真に注意を促す」——媒体それ自体を中心的な主題のひとつとして扱う。*1
代表作《Goftare Nik / Good Words》などでは、カラー写真・ポートレイト・アブストラクトな色面構成を並置したインスタレーションが展開される。写真はカーペットへの翻訳や絵画的な変換を通じて再登場し、イメージの意味が撮影の瞬間に固定されるのではなく、流通・反復・変容の過程で生まれることを示す。*2 ハンブルク写真トリエンナーレが指摘するように、デジタル介入なしにアナログ手法を守りながら現代的なイメージ問題を扱うという姿勢が、シャーバジの独自の位置を形成している。*3
1990年代末から2000年代にかけて、イメージの飽和・クロスメディア的な流通・ドキュメンタリー的真実の不安定性が現代美術における写真の主要な問いとなっていた文脈のなかで、シャーバジはドキュメンタリー的モチーフと抽象的なフォルマリズムの間を流動しながら、その双方を特権化しない独自の立場を確立した。