トーマス・デマンドThomas Demand

トーマス・デマンド(1964年ドイツ生まれ)は、既存の報道写真や記録写真を原寸大の紙とボール紙で再構築し、そのモデルを撮影して作品とする写真家・アーティスト。「現実の構築」を主題に、写真のドキュメンタリー的権威がいかに機能するかを問い直す。

基本情報
ドイツ
生没年 1964–

経歴

1964年ドイツ生まれ。彫刻家として訓練を受けた後、1990年代に写真へ移行したアーティスト。既存の写真(多くはニュースやアーカイブから)を原寸大の紙とボール紙で再建し、そのモデルを撮影した後に破壊するという方法論で知られる。*1

表現解説

主要なテーマは、媒介、再構築、公共の記憶、ドキュメンタリー的真実の不安定さ、マス・サーキュレーションするイメージが歴史的意識をいかに形成するかである。既存の写真を出発点に、描写された場所を紙とボール紙で再建し、イメージを日常的な使用に固定する細部を取り除いてからモデルを撮影し破壊するという一連の工程が特徴的な手法である。*2 代表作は2000年米大統領選挙の開票所を基にした『Poll』(2001年)、『Control Room』(2011年)、『Daily』シリーズで、出来事のイメージをそれでもドキュメンタリー的参照を保ちながら冷静で不気味な構築物へと変換する様子を示す。ルイジアナのインタビューでデマンドは、彫刻からアプローチしながら写真が「構築された現実」を思考するための手段として興味深かったと語り、紙のモデルが撮影されるために一時的に存在する構造物となっていることを示す。*2 写真・インスタレーション・コンセプチュアル実践がますます絡み合い、プレスイメージへの透明な証拠としての信頼がテレビとマスメディアの飽和によって圧力を受けていた1990年代に登場した。この作品は写真のドキュメンタリーの力をリアリズムを放棄することではなくそれを再建することで試した点で、批評的意義を持つ。*3

批評と受容

MoMAとルイジアナの受容はともに「構築された現実」という軸で一貫しており、批評家がその作品を幻想的な職人技だけでなく、写真が本来の出来事がすでに媒介されたものとなった後に機能するあり方についての持続的な問いとして受け取っていることを示す。「これは本物か」という問いから「現実はそれに触れる前からすでにいかに構築されているか」へという転換が最も強い批評的ラインである。*1

トーマス・デマンド 写真集

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外部リンク

出典