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PHOTOGRAPHERS/ALVIN LANGDON COBURN · モダニズム
AC
§ 020 — Photographer Index — モダニズム

アルヴィン・ラングドン・コバーン

Alvin Langdon Coburn 1882–1966
Countryアメリカ / イギリス Period1910–1920s Channel写真史の論点 · モダニズム
Abstract

ピクトリアリズムの叙情的な画面から都市の俯瞰へ、さらに鏡装置を使った抽象写真へと展開したイギリス・アメリカの写真家。1916〜17年の《Vortograph》シリーズは写真による抽象化の初期実験として記録される。

この写真家が変えたこと

コバーンは叙情的なピクトリアリズムの画面から出発しながら、都市を高所から俯瞰する構図や鏡を組み込んだ装置によって、写真を被写体の再現から引き離した。1916〜17年のVortographシリーズは、対象を識別不能な幾何学へと解体する写真による抽象化の初期の試みとして記録され、絵画の抽象運動と写真を接続した。

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目次 · Table of Contents
§ 01 / 03 背景と時代

アルヴィン・ラングドン・コバーンは1882年にボストンに生まれ、幼少期から写真に親しみ、1900年代にはロンドンでも活動するようになった。*1 スティーグリッツの写真分離派に参加し、『カメラ・ワーク』にも作品が掲載されるなど、ピクトリアリズムの成功した担い手として認知された。*2 ロンドンの霧やテームズ川を柔らかな調子で捉えた初期の作品は、芸術写真として高い評価を得た。*3

1910年代に入ると、コバーンは都市を高所から俯瞰するという方向を探り始めた。ニューヨークやロンドンの摩天楼や街路を斜め上方から捉えた写真は、街路を人物と物語ではなく、パターンと構成として読む視点を示した。*4 さらに1916〜17年には、三枚の鏡を三角形に組んだ「ヴォルトスコープ」とよばれる装置をカメラの前に取り付け、対象を幾何学的に分裂・反復させた《Vortograph》シリーズを制作した。*5 晩年は神秘主義や精神的な探求に向かい、写真活動はやや後退したが、実験の記録は博物館・コレクションに保存されている。*6

§ 02 / 03 表現の核心

ピクトリアリズムから都市の幾何学へ

コバーンの初期の写真は、霧、雨、夕暮れ、港といった大気的な条件と、ソフトフォーカスによる柔らかな調子を組み合わせたピクトリアリズムの典型であった。*7 しかし1910年代に入ると彼の関心は、対象の叙情的な美化から、視点の高さが対象をどのように変えるかという問題へと移っていった。テートの作品解説は、コバーンの都市俯瞰において街路が人物と物語から引き剥がされ、平面的なパターンへと変換される過程を記録している。*8 この方向は、写真が描写の媒体であるという前提を揺さぶり、視点の操作がイメージの性格を根本から変えることを示した。*9

《Vortograph》と鏡装置による抽象

《Vortograph》シリーズは、コバーンが詩人エズラ・パウンドとの交流を通じてヴォーティシズムの思想に接触した時期に制作された。*10 三枚の鏡を三角形に組んだヴォルトスコープをレンズの前に置くことで、被写体は分裂し、反転し、多重に重なり合う幾何学的な形へと変換された。MoMAのObject:Photo資料はコバーン自身の言葉として「最初の純粋に抽象的な写真」という評価を記録しており、この主張の妥当性はともかく、彼の実験が写真史の中でどのように受容されてきたかを示している。*11 マン・レイモホイ=ナジのカメラレス実験とは異なり、コバーンの《Vortograph》はレンズと被写体の間に変形装置を挿入するという方法で、光学的変換による抽象を探った。*12

ヴォーティシズムは機械時代の動力、断片、速度を前衛芸術の中心に置いた運動であり、コバーンの写真実験はその視覚的表現の一つとして位置づけられる。*13 この方向は持続的なシリーズとはならず、晩年の精神的探求へと転じたが、写真史においては写真と前衛芸術が交差する1910年代の証言として残っている。*14 ヴォルトスコープという装置の発明と使用は、コバーンが写真実験を機械的・工学的な問いとして捉えていたことを示しており、写真と前衛芸術の関係を語る際に固有の事例として位置づけられる。

写真集・出版・ヴィクトリア&アルバート博物館

コバーンはポートレートや都市の写真集も手がけ、文学者や芸術家のポートレートをまとめた作品集はロンドンの出版文化と写真の接点を示す資料になっている。*15 ヴィクトリア&アルバート博物館のコレクションは、彼の幅広い写真活動の記録として参照できる。*16

§ 03 / 03 批評と写真史上の位置

コバーンはピクトリアリズムとモダニズムの境界に立つ作家として、写真史上の扱いが二重になる。初期の柔らかな芸術写真と1910年代の抽象実験という二つの時期が、一人の作家の中に共存している。*17 MoMAのObject:Photoプロジェクトが《Vortograph》を扱うことは、彼の実験がヨーロッパ前衛と写真モダニズムの接点として再評価されていることを示す重要な文脈である。*18 ジョージ・イーストマン博物館やゲティ美術館もコレクションを所蔵し、ピクトリアリズムから実験的写真への移行期を記録する資料として機能している。*19 コバーンの仕事は一人の作家の中で様式と実験の方向が大きく転換した稀な例として、写真史においてピクトリアリズムとモダニズムの両方を内包する作家として扱われてきた。初期の叙情的作品と《Vortograph》のような実験的作品の両方が主要コレクションに保存されており、写真の芸術化の複数の方向が一つのキャリアの中に共存する事例として参照できる。

§ REL 関連する写真家・運動
関連する写真家
  • アルフレッド・スティーグリッツ ― 写真分離派と『カメラ・ワーク』を通じてコバーンのピクトリアリズム期を支えた。
  • マン・レイ ― カメラレス技法とは異なる方法で、コバーンは光学的変換による抽象を探っており、同時代の実験写真の広がりとして比較できる。
  • ラースロー・モホイ=ナジ ― 《Vortograph》と同時期に、視覚と知覚を更新する装置として写真を使った実験の担い手として比較される。
  • エドワード・スタイケン ― 写真分離派の同僚として、ピクトリアリズムから写真芸術化へ向かった同世代の作家。
関連する運動
  • ピクトリアリズム ― コバーンの初期を規定した芸術写真の方法論であり、後の実験への出発点となった。
  • ヴォルテクシズム ― 詩人エズラ・パウンドとの交流を通じて接触し、《Vortograph》シリーズを生む直接的な思想的背景になった。
  • モダニズム ― 都市俯瞰と光学的変換による抽象実験を通じて、写真のモダニズム的転換の先駆的事例の一つとなった。
§ REF さらに読む
写真集
Alvin Langdon Coburn

象徴主義から抽象へ向かう過渡期が見える。

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Alvin langdon coburn t.94

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