1959年イギリス生まれ。建築・都市空間・空などを主題に、出来事の記録ではなく持続的な観察と連作による記述を方法論とする大判カラー写真を制作してきた。描写そのものを反省的・歴史意識的な実践として位置づけ、速報性でも社会告発でもない「見ること」への忍耐の写真家として評価される。
リディの実践の核心は、描写(description)を批評的な写真的行為として維持することにある。速報性・社会的告発・スペクタクルではなく、場所を「ゆっくりと知ること」のための反復的・連作的な実践として写真を位置づけてきた。建築・都市環境・空を主題とした連作は、単一の決定的瞬間ではなく複数の視点の比較と持続的な観察に依拠する。*1
《Sky 14 (Camberwell)》に代表される空のシリーズ、《Low Relief》のロンドン建築写真、《Normandy》《Garbatella 2》などの建築連作は、いずれも静止・トーン・測定的な記述を通じてスペクタクルを拒否する姿勢を示す。マイケル・フリードのエッセイが指摘するように、リディの写真は比較・遅さ・建築的意識を通じて機能し、その記述的な力は連作性によってのみ生まれる。*3 1994年のフリス・ストリート展示テキストはこの実践を、19世紀フランス写真・20世紀アメリカ写真・絵画・彫刻との対話として提示し、2000年の《Ideal World》展では近代建築の理想・風化・時間の経過という問いを前景化させた。*2
描写を通じて場所の歴史的・文化的な厚みを圧縮するというリディの実践は、20世紀末のイギリス写真においてストリートルポやドキュメンタリーとは異なる経路として位置づけられる。トポグラフィック写真や建築写真と参照関係を持ちながらも、中立的な調査よりも写真的記述と絵画史的な記憶の関係を重視する点で独自の位置を占める。