ルイス・ボルツLewis Baltz

1945年カリフォルニア生まれ、2014年パリ没。1975年の《ニュー・トポグラフィクス》展に参加し、郊外の工業地帯・空き地・無名の建造物を精緻な白黒で記録した。風景写真を人間が改変した空間の批評的分析へと転換させた重要な写真家。

基本情報
生没年 1945–2014

経歴

1945年カリフォルニア州ニューポートビーチ生まれ、2014年パリ没。1975年、ジョージ・イーストマン・ハウスで開催された《ニュー・トポグラフィクス:マン・オルタード・ランドスケープの写真》展に参加し、同世代の写真家たちとともに風景写真の再定義に取り組んだ。代表作に《ニュー・インダストリアル・パークス・ニア・アーバイン、カリフォルニア》(The New Industrial Parks near Irvine, California、1974年)、《パーク・シティ》(Park City)、《キャンドルスティック・ポイント》(Candlestick Point)、《プロトタイプス》(Prototypes)などがある。晩年はフランスを拠点とし、ゲティ研究所が没後にアーカイブを収蔵した*4

表現解説

バルツの写真は、郊外の分譲地・工業団地・空き地・無名の建造物の壁面といった、アメリカの開発が生み出した人工的な空間を主題とする。白黒の厳粛なトーン、シリアルな組織化、感情的距離を排した中立的な記述距離、ファサード・区画・インフラの断片への反復的な注視がその形式的な特徴をなす。LE BALの回顧展はバルツの写真について、「単に空虚な場所を目録として記録した」ものではなく、人間と環境との構造的な関係を分析するものだったことを強調している*2

1975年の《ニュー・トポグラフィクス》展は、バルツを含む写真家たちが「英雄的な」自然景観から「人間が改変した」場所へと視線を転換したことを歴史的な節目として記録している。シアトル美術館はこの展覧会を通じて、バルツらが郊外化・開発・拡大を風景写真の正当な中心主題として確立したことを指摘する*3。バルツの仕事はとりわけ鋭い社会批評的な切れ味を示し、後の批評家たちはしばしば彼の写真をドナルド・ジャッド、ソル・ルウィット、リチャード・セラといったミニマリズム・コンセプチュアル・アートの作家と並べて論じた*1

ワシントン・ナショナル・ギャラリーが2011年に開催した《プロトタイプス/ロンド・ド・ニュイ》展は、83点の写真を初めてまとめて展示し、バルツの写真がジャッド・ルウィット・セラとの概念的な近接性を持つことを明確に位置づけた。開発の「進歩」が実際には空間と人間の疎外した関係を構造化するものであることを、バルツは写真の冷徹な視線によって可視化した。その「冷たさ」は感情の欠如ではなく、計画・反復・均質な形式のなかに暴力が潜在することを告発する姿勢から来る*1

批評と受容

バルツはニュー・トポグラフィクスの最重要な写真家のひとりとして一貫して位置づけられてきた。LE BALの回顧展はバルツが人間と環境の構造的な関係を写真で分析したことを強調し、シアトル美術館の解説はバルツらによる開発・拡大・郊外化を風景写真の中心主題として確立した功績を指摘する。後年の批評はバルツをドキュメンタリー写真とコンセプチュアル・アートの架け橋として評価しており、ゲティ研究所によるアーカイブ収蔵はその評価の永続性を示す*4

ルイス・ボルツ 写真集

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外部リンク

出典