ジョエル・スターンフェルドJoel Sternfeld

1944年ニューヨーク生まれ。大判カラー写真によってアメリカの風景・日常・社会的矛盾を記録した。《アメリカン・プロスペクツ》(American Prospects、1987年)でカラー写真の記述的・物語的な可能性を拡張し、戦後アメリカのカラー写真の代表的な議論に位置する。

基本情報
生没年 1944–

経歴

1944年ニューヨーク生まれ。1970年代にカラー大判写真の実践を始め、アメリカ各地を長期にわたって旅しながら風景・日常・公衆を記録した。1987年刊行の《アメリカン・プロスペクツ》(American Prospects)はカラー写真によるアメリカの社会的風景の記録として広く評価され、その後《ストレンジャー・パッシング》(Stranger Passing)など人物の肖像を収めた連作でも知られる。カラー写真とドキュメンタリー観察を社会批評的な視点と結びつけた写真家として位置づけられる*1

表現解説

スターンフェルドの写真の特徴は、大判カメラが可能にする記述的な充実感のなかに、社会的矛盾・ユーモア・哀愁が単一のフレームの中で共存する点にある。《アフター・ア・フラッシュ・フラッド、ランチョ・ミラージュ、カリフォルニア、1979年7月》(After a Flash Flood, Rancho Mirage, California, July 1979)のように、表面上は穏やかな情景の中に歴史的な不和や社会的な緊張が潜在している。これらは報道写真的な緊急性とも純粋な形式主義とも異なる、反省的・寓意的な視線による写真である*4

スターンフェルドが活動した1970〜80年代は、カラーが美術写真の中心的な言語として定着する時期と重なる。ロバート・フランクウォーカー・エヴァンス、そしてニュー・トポグラフィクスの世代を経た後、スターンフェルドはカラー・大判・ドキュメンタリー的な観察を、反省的で批評的なアメリカの視覚記録として統合した。大判カメラによる遅く熟慮に基づく視線は、偶発的な出来事・環境・社会的文脈を圧縮するために必要な距離を生む。その結果として生まれる写真には美しさ・皮肉・社会的告発が同居し、どれか一方に収束することを拒む*3

《ストレンジャー・パッシング》では歩道や公共空間ですれ違う見知らぬ人々の肖像を集め、アメリカの日常の多様性と孤独を記録した。SFMOMAはスターンフェルドについて、大判カラー写真の記述的・物語的な範囲を拡張した写真家として評価している*2

批評と受容

ICPとSFMOMAはスターンフェルドを、カラー大判写真の記述的・物語的な可能性を拡張した重要な写真家として位置づけている。MoMAの作品収蔵と展覧会履歴は、《アメリカン・プロスペクツ》などの作品が1970年代以降の新しいカラー写真の正典に速やかに組み込まれたことを示す。美しさ・皮肉・社会批評を一つのイメージに保持する能力が、スターンフェルドを戦後アメリカのカラー写真の代表的な議論の中心に置いた*3

ジョエル・スターンフェルド 写真集

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外部リンク

出典