ウィリアム・クリステンベリーWilliam Christenberry

1936年アラバマ生まれ、2016年没。アラバマ州ヘイル郡を生涯にわたって撮り続けた写真家・画家・彫刻家。同じ場所への数十年にわたる反復的な回帰と建物の変化の記録によって、記憶・場所・時間をめぐる写真史上最も持続的な作品群を生み出した。

基本情報
生没年 1936–2016

経歴

1936年アラバマ州生まれ、2016年没。幼少期を過ごしたアラバマ州ヘイル郡を撮影の出発点とし、以後数十年にわたって同じ教会・コールマンズ・カフェ・民家・標識を繰り返し撮影し続けた。写真のほかに絵画・素描・彫刻も手がけ、複数の媒体にわたる独自の芸術実践を確立した。ウォーカー・エヴァンスとの親交が初期の仕事の評価に大きな役割を果たした*2

表現解説

クリステンベリーの仕事の核心は、反復によって意味を生み出す点にある。同じ建物——コールマンズ・カフェ、ヘイル郡の小さな教会や民家——を年ごとに撮り返すことで、個々のイメージは単独では担いきれない時間の堆積と変容を可視化する。建物は風雨・放棄・崩壊によって変形し、最終的に消滅する。この変容と消滅のプロセス全体が、クリステンベリーの写真的な関心の対象である*1

カラー写真の使用は、当時の芸術写真が白黒を基準としていた文脈においてひとつの先進的な選択だった。彼のカラーは装飾的なものではなく、アラバマの光・錆・剥落した塗料・草の色といった、場所の物質的な特性を登録するための手段として機能する。写真が絵画・素描・彫刻と並行して制作される点も特徴的であり、同じ対象が複数の媒体を通じて探究される*2

ウォーカー・エヴァンスはクリステンベリーがブローニーカメラで撮影した初期の写真を「完璧な小詩(perfect little poems)」と評したと伝えられており、この言葉がクリステンベリーの仕事をドキュメンタリーと叙情詩の両方の系譜に位置づける根拠となってきた*2。ヘイル郡はかつてジェームズ・エイジーとウォーカー・エヴァンスが1930年代に訪れて記録した場所でもあり、クリステンベリーの仕事はその歴史的な重みを引き受けながら、南部をノスタルジアとしてではなく生きられつつある物質的な環境として記録した*3

批評と受容

フィラデルフィア美術館・ウェザースプーン美術館・ハイ美術館の展覧会記録は、ヘイル郡への深い愛着と、建物を通じた時間・記憶の長期的な探究がクリステンベリーの仕事の核心をなすとして一貫して評価している。ウォーカー・エヴァンスとの関係は受容史において常に言及され、「完璧な小詩」という言葉はその位置づけを凝縮する。後年の批評は、一地方という限定されたスコープがかえって豊かな写真的・歴史的密度を生んだ点を評価し、クリステンベリーをアメリカ戦後写真における反復・カラー・場所という主題の探究者として位置づけている*1

ウィリアム・クリステンベリー 写真集

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外部リンク

出典