1934年生まれ、2012年没。家族・妻・孤独・自己崩壊を主題とした強烈に個人的な写真で知られる。代表作として妻・洋子を撮影した『洋子』、家族記録の『家族』、そして離婚後に制作されたカラス連作『鴉』(Ravens、1986年)が国際的に高い評価を受けている。
深瀬の写真は、親密さ・家族・配偶者を主題とすること・自己崩壊・孤独・パフォーマンス・喪失を主題とした強烈に個人的な連作を核としている。妻・洋子の写真群と後年の『鴉』連作は、私生活が心理的に荷電された写真的構造へと変換されうることを示す最重要の例として位置づけられる*1*2*3。
形式的な特徴として、連続的な思考・劇的な黒白・反復の強い使用・象徴的なシーケンシング、そして自己露出を写真的構造へと折り畳む意志が挙げられる*1*2。深瀬は写真を親密な関係と心理的危機を通り抜ける手段として用いた。その方法は自伝をシーケンス・象徴・イメージ世界へと変換するものであり、単なる回顧録とは根本的に異なる*1*2*3。
歴史的文脈として、深瀬の仕事は戦後・1960年代以降の日本写真——主観性・都市的疎外・フォトブック文化が中心化していった時代——に帰属する。彼はその流れを、より急進的に個人的な領域へと押し広げた*1*2。荒木経惟や戦後日本の日記的写真との近さで論じられることが多いが、深瀬の象徴的な密度と暗いシーケンシングは彼の作品を独自に際立たせている。フォトブックを中心に据えた日本写真史に完全に属する存在である*1*2*3。深瀬の意義は、自伝と心理的亀裂を日本の写真的モダニズムの中心に置いたことにあり、とりわけ書物の形式においてそれが実現された*1*2*3。