1950年東京生まれ。ガラパゴス諸島での撮影を契機に野生動物写真の道に入り、アフリカ・海・ネコなど多彩な対象を世界各地で撮影してきた。写真集・映像・テレビ番組を通じて、日本において野生動物写真を最も広く普及させた写真家のひとり。
1950年東京生まれ。父は水中写真家の岩合徳光。1970年代にガラパゴス諸島を訪れたことが野生動物写真家としての出発点となった。その後アフリカ・南米・アジアなど世界各地の自然環境で動物を撮影し続け、写真集《Letters from the Sea》をはじめ多数の書籍・テレビ番組・写真展を通じて広く知られるようになった*1。
岩合の写真の特徴は、動物を環境の文脈の中で捉える敬意ある観察と、親密なアニマル・プレゼンスを両立させる点にある。望遠レンズと長時間の待機によって可能になる動物の自然な行動の記録は、人間の価値観を動物に投影するのではなく、動物を自らの環境の主体として接近する姿勢から来ている*2。
OM SYSTEMのギャラリープロフィールは、ガラパゴスでの出会いを岩合の仕事の決定的な転換点として記しており*1、この体験が動物を「撮影する対象」ではなく「出会う存在」として接近する方法論の基礎になったことを示す。サイモン&シュスターによる著作の紹介文はその語りのアクセスのしやすさを評価しており*3、科学的な距離感よりも親密な観察を重視した写真が広い大衆に届いた理由を説明する。
岩合の仕事は、プロヴォークやコンセプチュアル写真が支配した1970年代日本写真の主要な物語の外側にある。しかしそれは日本の写真文化が動物・自然・環境という主題をとおして大衆メディアへと拡大していった歴史的証言でもある。写真集・テレビ・大判雑誌を横断する彼の仕事は、アート写真とは異なる回路で日本写真を広く社会に接続した*2。
公式サイト・Minden Pictures・Simon & Schusterをはじめとする受容は岩合を、動物写真というジャンルにおいて日本で最も国際的に知名度の高い写真家として一貫して位置づけている。美術館や批評の文脈よりも大衆出版・放送・写真展を主要な場とする彼の受容の回路は、写真がいかに異なる社会的チャンネルを通じて機能しうるかを示している*1。