1966年マドリード生まれ。インスタレーション・パフォーマンス・映像・写真を横断する現代美術家。労働・搾取・政治権力・排除といった主題を、指示と委託による行為として実行し、その記録写真と映像を作品流通の核とする。写真は補助的な記録ではなく、労働と強制の関係を社会に可視化するための媒体として機能する。
シエラの実践の核心は、労働・搾取・服従といった社会的権力関係を、指示と委託という手続き的な行為として可視化することにある。パフォーマーや日雇い労働者、排除された集団を参加者とする行為は、写真や映像によって記録・流通する。この文脈でシエラにとっての写真は副次的な記録ではなく、その冷徹で証拠的な外観によってこそ行為の政治的内容を制度と観衆に届ける媒体として機能する*1。
シエラの実践が展開した1990年代から2000年代は、労働の流動化・グローバリゼーション・移民政策の激化という時代である。彼の作品はアートが権力関係をいかに再演・暴露・あるいは道具化するかを問い続けた*2。ハーシュホーンが提示した《ブラック・ボックス》は、スペインの経済危機をめぐる街頭抗議の映像を美術館内で再起動させたものとして評価されており、写真・映像メディアが政治的告発として機能する場を示した*1。