1955年ランス(フランス)生まれ。写真・オブジェ・彫刻・インスタレーションを横断する現代美術家。《Disjonctions》(1985–95)をはじめとする写真の仕事で、ドキュメンタリーの外観を用いながらその確実性を解体するポストドキュメンタリー写真の重要な実践者として知られる。
1955年ランス生まれ、パリ在住。1980年代末から写真を中心に活動を始め、10年間にわたって制作した《Disjonctions》(1985–95)でフランスの現代美術写真における独自の位置を確立した。その後も写真・彫刻・オブジェ・インスタレーションを横断する幅広い実践を展開している。CNAPはこの写真連作を、後の写真実践に影響を与えた先駆的な作品群として位置づけている*1。
ムレーヌの写真の核心は、ドキュメンタリーに似た外観を用いながら、その読み取りの安定性を意図的に崩す点にある。静物・ストリート・ポートレート・建築といった異なるジャンルの写真が単一の「コード」に収まることを拒むように配置されており、写真が社会の意味生産にいかに参与しているかを問い返す*2。
CNAPの《Disjonctions》解説は、この連作が後の写真実践に広く影響を与えたと明記しており*1、それがフランスのポスト産業社会への固有の写真的応答として機能したことを示している。《40 objets de grève》(ストライキのオブジェ)などの後の仕事でも、ムレーヌは労働・地位・政治的物質性の問いを写真とオブジェの間で展開させた。
ダイア・アート財団でのアメリカ初個展は、彼の写真実践が彫刻・インスタレーションと切り離せないものとして受容されていることを示す。写真はムレーヌにとって分析的な道具であり、社会の意味システムや商品・記号の生活を問い直す手段として機能している*3。
CNAPをはじめとする機関的受容は一貫して、ムレーヌを従来のドキュメンタリーやアート写真の規範に収まらない、フランス現代美術における特異な写真の実践者として位置づけている。写真が分析的なオブジェとして機能することで、単なる証拠や報告としての写真観を超える実践を確立した*1。