サラ・ヴァンダービーク(1976年生まれ)は、美術史・アーカイブ・都市の断片を一時的な彫刻として組み上げ写真に収め、その後解体するアメリカのアーティスト。写真はオブジェクトの唯一の痕跡として残り、記憶・時間・場所・集合的歴史の問いを担う。MoMA「New Photography 2009」参加。
1976年生まれ、アメリカのアーティスト。MoMAの「New Photography 2009」に参加し、2010年にホイットニー美術館で初の美術館個展「Sara VanDerBeek: To Think of Time」を開催した。写真・彫刻・ファウンドイメージ・スタジオ構築物・インスタレーションを組み合わせた実践を展開する。*1
主要なテーマは、記憶、時間、場所、縮尺、彫刻、建築的断片、美術史的イメージ、集合的な歴史、そして一時的な構築物の痕跡としての写真である。美術史の書籍・アーカイブ・雑誌・新聞などからイメージを集め、それらを一時的な彫刻やスタジオのアレンジメントに組み込んで撮影し、その後解体する。写真はイメージであると同時に残滓でもある——カメラのために作られた彫刻的オブジェクトの唯一の残存証拠となりうる。*1 「To Think of Time」展でホイットニーが指摘するように、彼女はスタジオの外でも作業し、時間を個人的なものと集合的なものとして同時に瞑想する。写真が縮尺・時間・場所の読みを変える力を持つことへの関心、そして写真が直接的な観察と同様にほとんど知覚されていない経験の側面を明らかにするという問いが実践を支えている。*2 芸術家が写真の21世紀的な意味を探るなかで写真が彫刻やインスタレーションへと拡張していた2000年代以降の文脈に属し、写真を記憶と集合的歴史が組み立てられ脱安定化される場として位置づけた点に歴史的意義がある。*4
ホイットニーは静かでセミ抽象的な写真が彫刻的形態に基づき、撮影のために作られたオブジェクトの一時的な性格を強調すると評した。MoMAの「New Photography 2009」プレスリリースは「A Composition for Detroit」を1967年のデトロイト暴動からウォーカー・エヴァンスにいたる参照を取り込み脱工業化都市に応答するものとして説明する。The New Yorkerは同展に参加したヴァンダービークと関連作家を、個人的・政治的・美術史的な参照が詰め込まれた儚いアレンジメントを撮影する作家たちとして論じた。*3