ジョージ・ロジャー(George Rodger)は、戦争写真とドキュメンタリーを考えるうえで欠かせない写真家です。このページでは、戦争写真とドキュメンタリーを手がかりに、写真史の流れの中での位置づけを、関連作家・運動・出典とあわせてたどります。
ジョージ・ロジャー(1908–1995)はイギリスの写真家。第二次世界大戦の従軍写真家として活動し、戦後はアフリカを中心に長期ドキュメント写真を展開した。マグナム・フォトスの創設メンバーのひとりである*1*2。
代表的な転換点は1945年4月のベルゲン=ベルゼン強制収容所の解放取材であった。山積みにされた遺体の前を歩きながら最良の構図を無意識に探している自分に気づいたロジャーは、その体験をきっかけに戦争写真への継続的従事に疑念を抱き、ヨーロッパを離れてアフリカへ向かうことを決意した*1*2。以後、アフリカ各地の農村・遊牧社会・伝統文化を長期にわたって記録し、とりわけスーダンのヌバ族の写真は視覚的密度と敬意ある距離感で国際的に注目された*3。戦場写真家としての訓練された視線と、被写体の生活世界に寄り添おうとする姿勢の共存が、アフリカ作品の特質を形づくっている*1。
マグナムの公式的な位置づけは、ベルゲン=ベルゼンがロジャーの実践に与えた倫理的転換を強調し続けている。戦争とアフリカという二つの軸を切り離すのではなく、証言の倫理的責任という一つのテーマとして把握する近年の批評的傾向がある*1*2。