1936年生まれの写真家・批評家・編集者。舞台公演や人物の記録写真を撮影する傍ら、日本の美術館写真コレクションの形成に関する執筆・編集にも携わった。写真を作ることと写真の制度的歴史を記述することの双方を実践した、戦後日本写真の特異な存在である。
松本の実践の特徴は、作品制作と写真の制度的・歴史的基盤の整備を同時に担ってきた点にある。TOPMUSEUMの収蔵記録が示す作品群は、舞台公演・人物記録から旅や場所に基づくシリーズへと展開する実践の二極を示している。*2 資料が現時点でより明確に示すのは個々の写真的形式よりも、松本が写真家・批評家・編集者という複数の役割を通じて写真文化の形成に関与してきたという事実である。*1
《SHOWA: Photography 1945–1989》展への参加は、戦後日本写真の歴史的文脈のなかに松本が位置づけられることを示す。*3 日本の美術館の写真コレクションをテーマとする編著は、写真がいかに機関の記憶として組織・保存・提示されるかという問いに実践者が正面から向き合う姿勢を示している。単一のスタイル運動への帰属よりも、実践と記述・歴史化という複合的な関与によって写真文化に貢献した点が、松本の歴史的位置の核心にある。