ドロシア・ラング
Farm Security Administrationの写真部門で農業移住民の困窮を記録し、《移住者の母》で大恐慌の視覚的象徴を作った。日系人強制収容の記録では、国家委…
FSA写真は、1930年代のニューディール政策のもとで進められたアメリカ政府の写真記録事業で、大恐慌下の農村、移住労働者、地方都市の暮らしを組織的に撮影したプロジェクトである。記録と政策、芸術と行政がもっとも濃く交差したドキュメンタリーの現場だった。
国家の広報・アーカイブ・社会調査が一体となった写真プロジェクト。ロイ・ストライカーの指示のもと、撮影・分類・キャプション・配布まで管理された政府アーカイブ。
FSA写真の特異性は、個人の作品であると同時に国家の広報資料でもあった二重性にある。写真はその場で撮られて終わるのではなく、保存・番号・再利用によって社会的意味を獲得した。
FSA写真の前身は、農村再建局から農業安定局へと引き継がれた連邦政府の広報活動だった。大恐慌によって疲弊した農村の現実を記録し、政策の必要性を可視化することが出発点である。事業を統括したロイ・ストライカーは、撮影者に具体的なテーマを与えつつも、単なる宣伝写真では終わらない広がりを残した。農家、移住労働者、農業機械、教会、商店、学校、看板まで、多様な対象が体系的にアーカイブ化された。*1
FSAのアーカイブはラングやエヴァンズだけでなく、アーサー・ロススタイン、ラッセル・リー、マリオン・ポスト・ウォルコット、ゴードン・パークスらの異なる視線を同じ行政ファイルの中に並置した。キャプションと整理番号が決定的だった。写真は分類・説明付けされ、新聞や機関誌で再利用されることで政策資料になっていく。*2
ドキュメンタリーや社会ドキュメンタリーと重なりつつも、FSA写真はニューディール政策、ロイ・ストライカーの指示、連邦アーカイブの仕組みを伴う点で特異である。フォトジャーナリズムとの違いも速報性よりファイル化の論理にある。*9
Farm Security Administrationの写真部門で農業移住民の困窮を記録し、《移住者の母》で大恐慌の視覚的象徴を作った。日系人強制収容の記録では、国家委…
ウォーカー・エヴァンスは、看板、商店、路上、室内、小作農の肖像を、説明しすぎない正面性と連作の中に置いたアメリカの写真家。FSA(米国農業安定局の政府写真プロジェクト)、…